nagi74’s diary

製造会社の社内SEです。プライベートでの比較検討やトラブルシュートを記録で残していくつもりです。参考になれば嬉しいです。

NAS(Synology DS918+)が起動しなくなった話

はじめに

NAS(Network Attached Storage)がある日突然停止しており、かつ起動しなくなったときの話です。Web上で類似情報が少なく、備忘録として記載します。同様な状況に直面された方の参考になれば幸いです。

起動しなくなった状況

家族で利用しているSynology NAS(DS918+)(2020年6月購入)が2025年8月12日(火)に停止していた。

  • NAS本体の電源ボタンを押しても起動しなくなった。電源ボタン押下時、一瞬電源ボタンLEDが青く点灯するが、すぐに消えてしまう。ファンも一瞬回るがすぐ止まってしまう。
  • 電源アダプタのLEDは緑で点灯(NAS本体つながなくても)するが、NAS本体の電源ボタンを押下すると一瞬暗くなる(消灯する)。

状況的に以下ブログに近い。

gae.hatenablog.com

結論

先に結論を書くが、現行NASの復旧はあきらめ、新規NAS購入を含めて代替方法を検討することにした(別記事)。NASが起動しない原因は不明だが、NAS付属の電源アダプタ(Synology Adapter 100W_2)の問題と思われる。代替方法導入までにアクセスが必要なNAS上のデータは、当方PC(Windows)にNAS内蔵HDDを接続(SATA)し、仮想環境上のUbuntuでマウントしてデータを取り出した。

経緯

初動確認

内蔵HDDを取り外し、メモリモジュールも初期分・追加分を全て外し、最小構成にして起動を試行するも、全く同じ症状で変化が見られない。電源ケーブル部分は汎用品なので、代替物に交換するも効果無し。以下の「Synology NASマザーボード診断方法」を参照し、自己診断を行ったが、マザーボードまたは電源アダプタの不良という結果になった。

kb.synology.com

Synologyサポートへの問い合わせ

上記状況をもとにサポートへ問い合わせした結果、長々としたトラブルシュートの定型文が送られてきたが、「NAS本体の不具合の疑い」という結論に至る。電源アダプタのランプが点灯しているため、電源アダプタは問題無しの判定である。ただ、「電源アダプタへの通電後、アダプタのLEDが消灯することはありえるか?」を追加質問したところ、「通常、消灯することはありません」とのことなので、電源アダプタ故障の可能性は捨てきれない。

電源アダプタの再購入の検討

既に購入後5年を経過し、保証も終了している。原因と怪しんでいる電源アダプタ(100Wタイプ)を交換し、原因の切り分けを考えた。利用しているアダプタ「Adapter 100W_2」はすでにEOL(End Of Life)で、「Adapter 100W_3」が候補になる。

www.synology.com

しかし、この「Adapter 100W_3」の調達先が見当たらない。2025年9月現在もPC4Uで「Adapter 100W_2」は売っているが、13,000円で高価だし、納期も「取り寄せ(約2~4週間)で障害対応として非現実的。Amazonで「Synology Adapter 100W_3」で検索すると「互換用」というメーカー不詳のアダプタがいくつか表示されたが、7,000円とそれなりの金額であり、これに手を出すのは避けたい。

www.pc4u.co.jp

対処の決定

すでに発売後7年経過している製品であり、アダプタを新規調達したとしても、他の部品がそのうち壊れるリスクがある。よって、現行NASでの復旧は断念する。

NAS利用不可時のデータアクセス

対処方法

NASの利用用途は、「PCのシステムバックアップ」と「家族のデータ(個人撮影した写真・動画)保存」、「Google TVでの動画視聴」がメインであり、我が家では直接的で深刻な影響はあまり無かった。私の重要データがいくつかあるため、以下のSynology KBに従って私のデスクトップPC(自作)にNASの内蔵HDDを接続し、データを取り出した。

kb.synology.com

データ取り出し時のメモ

前提

NASは、4TB HDD2台によるRAID1構成(ミラーリング)、ファイルシステムはBTRFS、暗号化は無し。

HDDの接続

DS918+は4ベイだが、4TB HDD2台によるRAID1構成で稼働させていた。データ取り出し時の誤操作によるデータ消失を恐れ、HDD1台のみ接続した。RAID1によりミラーリングされており、HDD2台の双方に同じデータが書き込まれているため、いずれか1台を接続すればデータアクセスできる。バックアップを怠っていたため、RAID1のHDD2本に何かあると全データ消失に繋がるため1台のみを使用した。デスクトップPCのMother boardにSATAケーブルで接続した。

Ubuntuバージョン

上記Synology KBのとおり、「Ubuntu 18.04LTS」でないとHDDをマウントできない。KB記事が古いだけで新しいUbuntuでもアクセス出来るだろうと安易に考えてしまい、Ubuntu 22.04 LTSで作業したところ、mountコマンド実行時に以下のエラーによりHDDをマウントできなかった。

# mount /dev/md2 /home/xxx/Synology_Disc/ -o ro
mount: /home/xxx/Synology_Disc: /dev/md2 のスーパーブロックを読み込むことができません.

redditの以下ページによると、カーネルバージョンが新しいと、Synology NASで作ったファイルシステムBTRFSを扱えないようだ。しかし、「Ubuntu 18.04LTS」は古く、起動USBメモリを作成して当方PCで起動させたが、当方PC(Mother boardはB760Mチップ+Intel 14世代プロセッサ + Intel Wi-Fi 6E AX211 + Realtek Gaming 2.5GbE)ではドライバが足りずインターネットに接続できない。ドライバを組み込む時間もない(そもそもドライバがあるのか不明)ため、仮想環境でUbuntuを起動させることにした。

当方PCは、Windows 11 Proを使用しておりHyper-V(Microsoftの仮想環境)を使用できるため、Hyper-V上でUbuntu18.04LTSを起動させた(Linux kernel 4.15.0-20-generic)。Ubuntu 18.04は2023年5月末で標準サポートを終了しているため、今後は長期的に維持可能な復旧手段を検討しておく必要があると痛感した。

https://www.reddit.com/r/synology/comments/1cjclma/restoring_data_from_shr2_btrfs_with_a_recent/?tl=ja

なお、2025年8月時点では、Hyper-Vのクイック作成から生成する「Ubuntu 18.04」だとマウントできなかった。Linux kenel 5.4.0-117-genericだったので、マウントに失敗したものと思われる。したがって、Synology KBに記載のリンク先からisoイメージをダウンロードする必要がある。

Windows11 Hyper-Vの「クイック作成」画面
クイック作成により作成されたUbuntu18.04のカーネルバージョン

22.04 LTSと18.04 LTSでのコマンド結果比較

HDD 2台でのRAID1構成(BTRFS、暗号化無し)で、うちHDD1台をPCにSATA接続しマウントした際の結果を参考までに記載する。22.04 LTSでは以下のようにエラーとなる

# mdadm -AsfR && vgchange -ay   ←何も結果が表示されない
# cat /proc/mdstat
Personalities : [raid0] [raid1] [raid6] [raid5] [raid4] [raid10]  ←RAIDを正しく認識していない
md2 : inactive sdb3[1](S)        ←inactiveになっている
          3902196560 blocks super 1.2

unused devices: <none>
# lvs
# mount /dev/md2 /home/xxx/Synology_Disc/ -o ro
mount: /home/xxx/Synology_Disc: /dev/md2 のスーパーブロックを読み込むことができません.

18.04 LTSだと以下のようになる

# mdadm -AsfR && vgchange -ay
mdadm: /dev/md/2 has been started with 1 drive (out of 2).
# cat /proc/mdstat
Personalities : [raid1]
md2 : active raid1 sdb3[1]
          3902196544 blocks super 1.2 [2/1] [_U]   ← [2/1] [_U]は片方が無いという意味

unused devices: <none>
# lvs
# mount /dev/md2 /home/xxx/Synology_Disc/ -o ro
# 

Ubuntu-screen_mount_synology-nas-hdd

あとはデータコピーするだけ

私は、WindowsのホストOS側に共有フォルダを作ってcifsでマウントし、コピーした。

# mount -t cifs //<IP address>/<shared folder> /mnt/win_share -o user=<username>
Password for <username>@//<IP address>/<shared folder>: ********